部下に好かれる上司になる

とある40代の管理職の人の話
「最近の新入社員はこちらが気を使って接してもちょっとしたことがあると嫌になってすぐにやめてしまう・・」

「怒ってはいけない」とか「強い口調で注意しないように」と上から指示されているので、気をつけてそのように接しているのにも関わらず、ちょっとミスしただけで本人が自信をなくしてそのまま会社に来なくなってしまうこともあるようです。

管理職の立場からすると「彼らが何を考えているのかわからない」ということが大きな悩みではないでしょうか。

若い世代とコミュニケーションを取ることがむづかしい理由として彼らに意見を求めても「はい」か「いいえ」の簡単な返事しか返ってこなくて、褒めても叱っても反応が鈍く、どう接していいかわからないことがあると思います。

また動作もゆっくりでマイペースすぎるので、見ているとイライラしてしまう・・ということもあるのではないでしょうか。

「最近の若者は・・」とか「昔はよかった」と言いたくもなるかもしれませんが、こちらから相手を理解しようとしないと関係は改善されないので、少し考えてみたいと思います。

社会慣れしていない若者の共通点として

・挫折や失敗の経験が少ない
今まで親からも叱られたことがなく、さして大きな失敗もしていないので、未経験のことに対して失敗したらどうしようという恐怖や不安がある

・人からどう評価されているかが非常に気になる
否定的な評価をされると自信が低下するため、極端な場合は人との接触を避けることも

・人間関係をリアルに築く経験が少ない
SNSやインターネットの時代に生まれ、人に聞かなくても調べれば大体のことがわかるため人に聞くことが少ない、また携帯では文字のやりとりで会話が完結してしまうことが少なくない
つまり「生」のコミュニケーションが苦手

ということがあるんじゃないでしょうか。

こんなふうに生まれも育ちも受けてきた教育も違うので価値観が違うのは仕方のないことですが、人間はどうしても自分の「べき」が正しいと思いがちです。

「俺の若いころ先輩はもっと厳しかった」「誰も仕事を教えてくれなかったから自分で見て覚えるしかなかった」

だから部下に対して「仕事は、甘えないで苦労して自分で覚えるべき」という「べき」があるかもしれません。

「もっとはっきり返事をするべき」という「べき」もあるかもしれません。

でも「べき」は世代や育ちによって大きく異なります。

自分の「べき」が正しいからと相手に押しつけても反発されるばかりです。

また自分にとっての怒り、いらいらの原因にもなります。

昔は「飲みニケーション」などといって仕事が終わった後に社員同士で
飲みに行って仲良くなるという機会がありましたが、今はそんなことしたら「残業代がつかないなら行きません」と言われそうです。

今と昔の大きな違いは、育ってきた環境の違いも確かにありますが、昔は自分を理解してくれる人もたくさんいたのではないでしょうか?

怒りっぽい上司だけれど、なにくれとなく世話を焼いてくれたり、面倒くさいぐらい家族のことや趣味を聞いてきたり。

面倒くさいなと思いながらも自分に関心を持たれていることに嫌な気持ちはしなかったと思います。

現代には「お節介な人」が減っていると思います。

「とにかく人に迷惑をかけないように」が当然のようになっていて、人と関わることを極力避ける。

そうすることで、よけいに相手のことがわからず、理解できないという悪循環になります。

なんでも根堀葉掘り聞けばいいということではないんですが、仕事の合間などでは、部下がどんなことに興味を持っているのか、またどんなことが得意で苦手か聞いてみるということもいいと思います。

はじめは、なかなか話がはずまないと思いますが、そのうち話してくれるはずです。

そうして「この人は自分にとって安心できる存在だ」とわかると職場が彼らにとってもだんだん居心地よくなってきて、仕事のモチベーションも変わってきます。

「なんだか面倒だ」と思われるかもしれませんが、SNSなどの普及で生のコミュニケーションをとる機会が減っている時代背景もコミュニケーションが苦手な原因としてあります。

調べものが得意で理論では負けない彼らなので、実際に人の中に入りいろんな経験をしていくことで、能力を発揮していける可能性はあります。

部下に好かれる上司になる一歩として「自分のべきをおしつけない」「ちょっとしたお節介」をしていただきたいと思います。