以前A子さんという知り合いの女性からこんな話を聞きました。
「私は結婚してから数十年、夫に対して怒ったことは一度もなくて、いつも夫の言うことをだまって聞いてきたんです。
もちろん今だって。
なのになぜ夫に大事にされないんでしょうか?」
A子さんは自分には怒りはないと言っています。
でもご主人の態度は冷たいそうです。
A子さんのご主人は仕事熱心で周りの人からの人望も厚くとても慕われているそうです。
でも家庭では、A子さんに冷たい。
話しかけても答えてもくれないことがほとんどで、たまには一緒に旅行にいきたい、二人の時間を過ごしたいと言っても「今は無理」と言われることがほとんどだそうです。
ご主人の笑顔はもう長いこと見ていない気がするとも言ってました。
あまりに冷たいので他に女性がいるのではないか?と疑うこともあるそうです。
お話を聞くかぎりはA子さんは今まで一生懸命ご主人や子供さんに尽くしてきた良い妻で
ありお母さんです。
悪いのはご主人の方では・・と考えがちですがアンガーマネジメントの視点で考えると違うんです。
アンガーマネジメントは「どちらが悪い、正しい」と結論を出すことではありません。
あくまでも自分の感情と思考をコントロールして「自分が楽になる、自由になる」ための手段です。
そういえばこんなことがあったんです、とA子さんは話してくれました。
ある時「たまには二人で旅行したい」と夫に言ったら「今仕事でたてこんでいるし疲れているから無理」と言われたそうです。
その後でA子さんは「どうせ私なんかと一緒に旅行にいっても面白くないよね」と言ったら「なんでそういうこと言うんだ」とご主人は怒ったそうです。
「なぜあの時主人が怒ったのかわからないんです」とA子さんは言ってました。
怒り、いらいらの原因の1つに「要求」があります。
相手に対して「こうしてほしい」という期待=要求が裏切られた時に「怒り」になります。
「たまにはあなたと一緒に過ごしたい」
「優しくしてほしい」
という期待=要求がご主人の「今は無理」という言葉によって壊されてしまったわけです。
「じゃあ「要求」はいけないことなの?」と思うかもしれませんがそんなことないんです。
「要求」そのものは悪くないのですが、怒りいらいらの「種」になりやすいことが問題なんです。
A子さんが「どうせ私といても面白くないよね」と言った言葉は、本当は「私と一緒に出かけてほしい」「私と一緒に過ごしてほしい」という「要求」を表す言葉だったんです。
「要求」を表す言葉は、相手の気分を悪くします。
怒っている気持ちが伝わるからです。
素直に「こうしてほしい」というリクエストとして伝えられればよかったのですが・・。
自分で「要求」していることに気づいていれば、怒りではない伝え方ができます。
(これはノウハウではなく、根本的にわかってくると自然にできるようになります)
「私は怒っていません」という人は、相手に期待を裏切られた時の「嫌な気持ち」に蓋をして見ないようにしている場合が多いです。
「怒る自分はいけない」とか「両親が仲が悪くて嫌な思いをしてきたから私はガマンしなければいけない」とか。
環境によってできてしまった思考のクセとも言えますが、まず自分が嫌な気分になったことを見逃さないでほしいと思います。
嫌な気分になれば、人間の防衛感情で「怒り」は必ず出ます。
嫌な気持ちは「大事にされなくて悲しかった、腹がたった」ということが元だということがほとんどだと思います。
要求を自覚することは「自分を大事にする」ことでもあります。
それを相手にそのまま告げるということはまた違うことですが、ガマンしているのに夫が冷たい、夫婦仲が悪いという方はぜひ自分の「嫌な気分」と向き合うことから始めていただきたいと思います。
嫌な気分は、自分のどんな期待=要求から出たのか?を知ることで感情は、ずいぶん落ち着きます。
嫌な気分に蓋をしているとある時急に爆発して関係破綻になってしまうか、健康を害してしまうこともあり得ます。
「結婚したころのあのラブラブに戻りたい」と思ったら諦めず「要求を自覚する」ことからやっていただきたいと思います。
自分の「嫌な気分」のコントロールができると相手の反応も不思議と変わってきます。
関係性は「受け身」でなく「意志」で作られるもの。
ぜひチャレンジしてみてくださいね、まだ遅くないですよ(*^^*)